玉ちゃんバスの東玉川学園4丁目バス停から昭和薬科大学の正門へ向かって100mちょっとの街路わきで、バショウが花を付けていました(『樹木たんけんマップ』の22)。これから9月ごろまで、一風変わった花と実を見ることができます。
バショウはバナナと同じバショウ科バショウ属の仲間で、樹木ではなく多年草です。幹のように見える部分は葉の鞘の部分が何重にも固く巻いている偽茎で、冬の間は地上部が枯れ、春にまた新しい偽茎が地下茎から出てきます。6月ごろになると、その偽茎のてっぺんから花茎が伸び、こうべを垂れるようにラグビーボールのようなつぼみ(花序)を付けます。
黄色い花びらのように見える部分は苞、花はその内側に列をなして並んでいます。外側に開いた苞はまもなく落下し、花の子房が小さいバナナのように膨らみます。その間にも花茎が伸びて次の苞が開き、その内側の花も子房が膨らみ……のような繰り返しで、バナナにそっくりの実が数段付きます。そして何段か実を付けたあとは、花は実を付けず落下するようになり、伸び続ける花茎に花の列の痕跡だけが残ります。なお、実は食用バナナのようには大きくならず、食用には適しません。
姿も花実もバナナと似ているバショウですが、世界に30種類以上あるといわれるバナナの仲間のなかでも耐寒性があり、北の地域に分布しています。日本を訪れたシーボルトがバショウを見つけてヨーロッパに紹介したことから、学名の「Musa basjoo」は日本での呼び名に由来しています。もっとも現在では、原産地は中国で、日本には1千年以上前に渡来したのではないか、ともいわれています。
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