ここにお見せするのはニワトコの木。手に持ってみると、その軽さに驚きます。かのハリー・ポッターの物語では、魔法学校校長ダンブルドアが持っていた魔法界最強の杖がニワトコ製でした。魔法界の杖は、杖材とそれに入れる芯材の魔力、そして持ち主によって、発揮する力が変わるのだとか。ダンブルドアの杖に封入されていたのは天馬セストラルの尾毛……。
おっと、魔法の杖の登場でつい興奮してしまいました。コホンッ。
ニワトコはガマズミ科の落葉低木です。近縁のセイヨウニワトコは、甘い上品な匂いのエルダーフラワーとしておなじみでしょう。多くの落葉低木がそうであるように、低木でも日光をのぞめる場所、たとえば高木が途切れる林の周縁や開けた水辺によく見られます。写真の木も、樹木たんけんマップ⑥の湧水近くに生えていました。
手に持って軽いのも道理で、木の密度が低く、特に若い木は太くてやわらかい髄が表皮近くまで占めます(すみません写真は成木です)。木の密度が低いということは、成長に必要な養分が少なくてすむということ。というわけで、ぐんぐん成長する木です。
ニワトコの使い道は魔法の杖だけではありません。日本ではセッコツボク(接骨木)の別名があり、唐代の医薬書『新修本草』には筋骨をいためた時の手当てに使うと記されています。クラブのメンバーによれば、子供のころに家のまわりに生えているニワトコを湿布薬に使っていたそうです。
写真のニワトコは猛暑のためか枯れてしまい、その幹をクラブの樹木案内人が回収してきました。11月のイベントでは、魔法の杖の振りごこち(?)を試していただけるかもしれません。
ei/Photo: coconami
0コメント