7丁目の野菜売り場の近くに、春は萌える若葉を、秋はたいへん美しい紅葉を見せてくれる木があります。ご近所の方が40年前に引っ越してこられたときにはすでにあったというこの木、ハゼノキ、もしくはカイノキ(楷の木)のようなのですが、識別のポイントとなる葉が木の高いところに付いていて、形状を間近で確かめることができません。困ったなあ……。
ともあれ、ハゼノキもカイノキもウルシ科の近縁で、ピスタチオやカシューナッツとも同じ仲間です。どちらであってもこの木の魅力に変わりはありません。
この木がある一角にはいろいろな鳥がやってきて、道行く人を楽しませてくれます。大きな鳥が立ち寄って餌を食べ、それが去っていくと、次に少し小さい鳥の一群がやってきて餌を食べ始め、それもいなくなると、小さい鳥がやってきて……と鳥世界の力関係も垣間見られます。油分の多そうなこの木の実はさぞかし鳥たちに人気ではと思いましたが、ご近所さんの観察によればいたって人気がなく、冬も深まっていよいよ食べ物がなくなった頃、仕方なくという様子でついばむのだそう。
さてハゼノキは、実からろうそくの材料になる木蝋が採れることから、安土桃山時代に日本に渡来したといわれ、栽培が広まっていきました。和ろうそく、作ってみたいですね。
一方のカイノキですが、ランシンボク、オウレンボク、トネリバハゼノキなどの異名があり、中国の孔子の墓陵に植えられたことから「孔子の木」「学問の木」と呼ばれています。日本には、1915年に林学の研究者が孔子の墓陵から種を持ち帰ったのが最初だといわれ、その種から育った幼苗が儒教ゆかりの聖堂や学校に配られて広まりました。
両者は葉の形状に違いがあります。ハゼノキは羽根状に付いている小葉が奇数、カイノキは小葉がおおむね偶数で頂点の小葉がありません(たまに奇数の葉も見られます)。以下の写真は、かしの木山自然公園のハゼノキ(1つめ)と湯島聖堂のカイノキ(2つめ、3つめ)です。葉の形状の違いを見比べてください。
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